一軒家に住んでいると、いろいろな訪問者がやってくる。
町内会費を集めにくる人。
回覧板をもってくる人。
近所のお祭りの時にお酒を持ってまわってくる人。
宅配牛乳の営業に来る人。
アパートに住み、せいぜいインターネット回線の営業くらいしか訪問してこなかった以前と比べると、ほんとうにいろいろな人がやってくる。
そんなときに大体言われるのが。
「あら…お父さんかお母さんいます?」
という言葉。それに対して、
「僕いま大学生で、ここで一人暮らしをしています。」
と言っても、なかなか信じてもらえない。
この子、嘘ついてるな…といった冷ややかな視線はいつものこと。
大学生で一軒家に一人暮らしをするのはまだまだ珍しいことなんだと、再認識する瞬間である。
(文・写真=石母田 諭)