2012年 2月
2012年2月。
雪、雪、雪、雪だらけ。
よくこんなに降ったもんだ。。。
まだ1月中旬でこの雪。もう園地に車は入れません。積雪50cm位山形のこのあたりでは、平年は雪が降っても2~3日晴れればある程度消え、また降っては少し消え、の繰り返しで積雪量はせいぜい30cm位をキープするような感覚なんですが、今年は全然違う。
降っても降っても消えずに降り積もり、あっという間に積雪は50cmを超え、さらにまだまだ収束する気配もなく黙々と降り続けました。朝から晩まで一日降り続いた日などは、果樹園に朝出かけた時よりも夕方帰るときの積雪量が20~30cm増えてたり。
時間に余裕のある専業農家の場合、降雪の多い厳冬期は無理に畑には行かず、積雪が締まって硬雪になり天気も良くなる2月中旬位から、ボチボチ剪定を始めるのが一般的。
しかし、毎週土日しか時間がない兼業農家の水戸農園では、どんなに吹雪のときも、積雪が多くても、槍が降ってきても休んではいられません。
どんなに激しい吹雪の日も、毎週毎週一日も休まず行きましたとも。
自分の頭や肩に雪が降り積もりながら積雪を掻き分けての作業です。
・・・風雪流れ旅か?
一瞬雪が止んで青空が見えることも。大規模果樹園地帯にある畑は、半径1km以上ほとんど建物もなく周囲全てが農地。
大雪の日は他所の畑には人影もなく、果樹園地帯の畑の真ん中にポツンと自分一人。
雪に覆われて物音もしない真っ白い世界。
なにか幻想的というか孤独というか。。。
自分だけの世界に浸り、だんだん神妙な気持ちになったり、いろいろと反省してみたり。
・・・・・・
そうこうしながら、なんとかラフランスの剪定作業が半分ほど進んだ頃、今年一番の寒波に襲われ一晩で50cmも積雪が増えるという非常事態が発生しました。2月上旬のピーク時には山形市内の平地でも積雪90cm以上。(ウチの園地付近では1m位はありました)
雪は地面にだけではなく、もちろん果樹の木にも積もります。ラフランスもリンゴもサクランボも、全ての木の枝に50cmを超える積雪が。50cmの積雪というと相当な重量が枝にかかってきます。
・・・・まずい!早く雪を下ろしてやらないと大事な木が折れてしまう。
週末、緊急事態に剪定作業は後回しにして、果樹の雪下ろしにリンゴ園へ。
げげっ!果樹の枝全てに、軽く50cm以上の積雪が。・・・ええっ?
これは・・・もはや・・・樹氷?・・・マジか?!
完全にスノーモンスターと化したリンゴの木。・・・想像以上の積雪でした。
大事な果樹を守るため、屋根の雪下ろし用竿で、枝の一本ずつ雪下ろし。
積雪1mにもなる園内は、ひざ下程度の長靴では、ズボズボと股下まで雪にハマって、まともに歩くこともできません。
長靴の底にカンジキを履いて、なんとか園内に入って行きました。
・・・細かな枝折れは仕方ない。
不安を押さえつつ、とにかく必死で雪下ろしを続けていくと、ついに雪の重みで大きく枝が裂け折れてしまったリンゴの木を発見。。
懸命なレスキューも間に合わず、雪で折れてしまったリンゴの木。折れていたのは、面積を減らして残った20アールだけのリンゴ園の中で、一番大きく古い「ふじ」の木のうちの1本。(樹齢40~50年くらい)
古くてももちろん現役で、毎年美味しい「サンふじ」を実らせてくれた大切な木でした。。
・・・雪下ろしが遅かったばっかりに。・・・ゴメンな。
樹齢が古い木は、その歴史が古い分だけ、幹の中が空洞化していたり、枝が大きく重いため折れやすくなっていたりと、どうしても雪害を受けやすいのです。
しかし、いちいち感傷に浸ってる場合じゃありません。
レスキュー隊はスピードが命です。
ひたすら雪下ろしを続け、急いでラフランス園、サクランボ園へも。
ラフランスの木にも大雪の被害が。やはり、これだけの大雪。
心配したとおり、ラフランスもサクランボも数本やられました。
折れてしまった木は、雪が融けてきたところで詳しく状態を確認し、枝の裂け目が比較的小さければ支柱で枝を持ち上げて固定し、上手く繋がってくれればまた生き返ります。
果樹も生き物ですから、人間が骨折したときと同じで状態が良ければ治療できます。
しかし、裂け目が大きく幹と枝を繋ぐ表皮まで裂けてしまっている場合、助かる確率は低く、涙をのんで切り倒してしまうしかありません。
上の画像のリンゴとラフランスの2本は、特に被害が大きかった木。
残念ながら、治療できずに切り倒すことになるかもしれません。
そして周囲の状況を後で聞くと、この時に雪下ろしができた農家(ウチも含めて)ではまだ被害は少ないほうで、雪下ろしできなかった農家の果樹は3本に1本の確立で枝折れの被害が出たそうです。
記録的な大雪に見舞われた今年。
その雪害は果樹農家にも大きな打撃を与えました。
でも、自然の恩恵を受けて生活している農家としては、これも自然の摂理として仕方のないことかもしれません。
一喜一憂せず淡々と受容れることも、農業っぽい一面かも。
自然のままに、あるがままに。
つづく