東北芸術工科大学専任講師の加藤優一さんが主宰する「やまがた空き家プロジェクト」の取り組みについて、定期的にお知らせしていきます!
プロジェクトメンバー空き家は「課題」ではなく「可能性」
「空き家」と聞くと、どんなイメージが思い浮かびますか?
放置された建物、管理が難しい物件など…課題としての印象が強いかもしれません。
しかし、見方を変えれば空き家は可能性にあふれています。
私はこれまで、数多くの空き家活用に取り組んできました。2017年には、地元の山形県新庄市で古民家を活用したお店「万場町のくらし」をオープン。その後、東京で地域の資源を活かした暮らしの拠点「銭湯つきアパート」や「公園つきシェアハウス」を運営しています。
いずれも、地域の暮らしを豊かにし、まちづくりに寄与する場所として再生することができました。
「やまがた空き家プロジェクト」のはじまり
2023年、東北芸術工科大学に着任してすぐ、空き家の所有者さんの話を聞く機会を設けました。すると、予想以上に多くの方が参加してくださり、空き家に関する悩みや想いを抱えていることが分かりました。
同時に、大学の授業で空き家活用のアイデアを考えてもらったところ「実際にやってみたい!」という学生が多くいたのです。
「この両者を結びつければ、空き家活用が進むかもしれない!」
そう考えてはじめたのが「やまがた空き家プロジェクト」です。
このプロジェクトは、空き家の所有者と活用者のマッチングから、具体的な活用提案・設計・工事・入居者募集・運営までを、学生と共に支援する活動です。これまでに5つの物件を活用し、現在も複数の事業が進行中です。
本コラムでは、その活動の様子を紹介しながら、空き家活用のヒントをお伝えしていきます。
活用案の検討空き家のお悩みを学生が解決!
空き家の所有者さんからは、こんなお悩みをよくいただきます。
「物件を相続したが、遺留品が残っており困っている…」
「思い入れもあるので活用したいが、進め方が分からない…」
そこで開催しているのが「空き家勉強会」です。
同じ悩みを共有したり、活用方法を学ぶ場をつくることで、最初の一歩を踏み出すきっかけになるのです。
また、こんな声も多く聞きます。
「自分の物件には、価値が無いと思っている」
「解体費や改修費が高いので、放置している」
しかし、見る人によって魅力的な場所に感じられたり、お金をかけなくても使える場合があります。
例えば、学生ならではの視点と行動力で、一軒家をシェアハウスとして使いながら再生している事例や、アパートの倉庫部分を古本屋や放課後スクールとしてリノベーションした事例があります。
一戸建ての空き家をシェアハウスとしてDIY新しいニーズを捉え、人を集める
「入居者が見つかるか不安」という声については、時代のニーズを捉えることで解決できることがあります。
最近では「自分の暮らしを自分でつくりたい」という人も増えているのでDIY可能な物件にしたり、リモートワークなど新しい暮らし型に対応した間取りにすることで、入居者を集めることも可能です。
このように、空き家を「課題」ではなく「可能性」と捉えることで、活用の道は開かれていきます。このコラムでは、活用のプロセスを段階的にお伝えすることで、空き家を持っている方や活用したい方が一歩を踏み出す後押しができればと考えています。
次回は、空き家活用の第一歩となる「空き家勉強会」と「見学ツアー」の取り組みを紹介します。どうぞお楽しみに!