2012年 7月
怒涛の6月が過ぎ、サクランボを終えてみると、もう7月も中旬。
気づけば"夏"真っ只中です。
5時少し前。まもなく日の出。季節が巡るように、農園の仕事は毎年繰り返されます。
消毒(果樹の防除)は、高温で雨の多いこの時期が一番多く、週2~3回のペース。
朝5時から一斉防除なので、リアルに「朝飯前」にやっています。
今日はリンゴの消毒。トラブルも無く無事完了。そして、サクランボで忙殺されている間に、他の園地の雑草が伸び放題。
もちろん、その間に、田んぼの畦の雑草も伸び放題。
当然こうなることは予測されていたので、5月下旬のサクランボ作業の前に、全ての園地の草刈りや除草剤の散布をしていたんですが。
なに?・・・草、伸びた?・・・あーそう。なら、もちろん草刈りです。
やっぱり今年も、昨年と同じ仕事を黙々と繰り返しています。
ラフランス園を疾走する草刈機1000MASAO果樹園は「草刈機 1000 MASAO」で除草。(第3話参照)
田んぼの畦は「刈払機 肩掛け1号」で除草。(第5話参照)
昨年は何もかも要領を得ず、何からどうしたらいいかわからない混乱状態だったので、本業の会社は週休5日、弟や伯父にも除草を手伝ってもらって、ようやくこなしていましたが、今年は今のところ除草は全て自分一人でやってるし、サクランボ休暇以降は土日しか会社を休んでません。(ちょっと成長)
朝仕事で出勤前に草刈り、土日も休まずに終日草刈り。
それでも、一年で一番お日様が照りつけるこの時期、ヤツらは日を追うごとに再びグングン成長し、お盆前には又草刈りしなきゃなりません。
農業は雑草との戦いだぜ!(でもヘビは大嫌いだぜ!)
そしてラフランスとリンゴ(ふじ)の摘果を終えると、昨年までは8月下旬に収穫する夏リンゴ「つがる」の仕上げ摘果、8月に入れば葉っぱ取り(第7話参照)という順に作業していましたが、今年からは、もう「つがる」の作業はありません。
実は、3月に地元で大規模に果樹栽培をしている農業法人と農地賃貸借契約を結び、貸してしまったんです。父から受け継いだ果樹園を維持できない自分への不甲斐無さからか、なかなかここに書き込む気にならず、今まで黙ってましたが。。。面目ない。
在りし日の第2リンゴ園(約40a「つがる」わい化栽培で約200本あった)「つがる」も昨年はなんとか収穫して例年通り出荷しましたが、専業の父がいなくなった今、兼業農家ビギナーの私と家族だけでは限界があり、私は会社へほとんど行けず、母は以前よりも増して働かなければ維持できない状態。明らかに無理がありました。
ウチのリンゴの種類の中では、JAへの出荷がメインで贈答用の販売をしておらず、夏の一番暑い最中に収穫までの仕上げ作業が忙しくなる「つがる」を、今年から作らないことに決め、他所へ貸すことにしたのです。苦渋の決断でした。
引継いでくれた農業法人さんは、「つがる」は作らず、全て「桃」に植え替えるとのことで、今まで父が大事に大事に育ててきた「つがる」の木は全部切り倒されていました。
※農業豆知識 農地賃貸借契約・・・農地を賃貸する場合、管轄する農業委員会に届け出て、借主が農業の資格を保有しているか、どんな目的で耕作するか、などの審査を受け許可を得なければなりません。そして農業委員会の所定の契約書により契約します。借主が別の種類の果樹を植えて栽培する場合でも、借主がちゃんと元が取れるように10年程度の長期間の契約となるのが一般的。もちろん今回のウチの契約も農業委員会の許可を受けた10年間の契約です。
全て切り倒された第2リンゴ園。わい化栽培の支柱とワイヤーだけが残っています。35年前ほど前、それまで作っていた葡萄をやめて、父と母が二人で手作業で植えたリンゴの木。わい化栽培の支柱に使うため電力会社から払い下げの電柱を買ってきて、これも手作業で穴を掘って立てた話は、以前から何度も聞いていました。
でも、自分が維持できない以上、他所の人に「つがる」を継続して作ってくれることを望んでも、それは無理な話。。。しかたない。
昨年の「SS川に落ちた事件」の現場もここ。ちょっと寂しく見えてしまいます。情けないけど、これが兼業農家の現実。
将来どうなるか、自分が何を選ぶかは判りませんが、少なくとも今は、できるだけ本業の会社に迷惑をかけないことを(いや、今でも相当迷惑かけてますが)、それに、母や家族に過大な負担を負わせないことを選択しながら、農業を続けていくしかありません。
季節が巡るように、農園の仕事は毎年繰り返される。
けど、もう繰り返すことのないものもある。
夏の農園の日暮れ。時代の移ろい。時間は流れているんですね。
つづく