「忙しい」という字は「心を亡くす」と書きます。
昨年の夏から年末にかけての私が、まさにそれでした。
超人気アイドルのようなタイトなスケジュールの日々に、心を亡くし、いや、意識朦朧の中で暮らしていたのか、その時期の記憶があまり鮮明ではありません。
といった前提で、読者の皆さまにはこのコラムをお読みいただければ幸いです。
いや、決して、4か月前の記事だから記憶があいまいなことの言い訳ではありませんって。
ただ自分の頭の中で、その時期のことが走馬灯のように、いや、フラッシュバックのように駆け巡っているイメージで、スライドショー的に皆さまにもお伝えできればと。
そんな訳で、前話に続いて、2013年の農作業を振り返ります。
2013年 9月
今年の夏も35℃を超える暑い日が続きました。
9月に入っても暑さは衰えず、9月下旬まではほとんど30℃以上の真夏日。
でも9月の空は青く澄んで、そして高く、少しずつ秋の気配が感じられてきました。
晴天の日、天高く秋空を感じるラ・フランス園。4月の稲の播種から11月のリンゴの収穫までの8か月間が水戸農園の繁忙期。
とくに夏場、果実の生育期間は、病虫害の防除(消毒)が最も大事な作業の一つ。
9月10日、SS(スピードスプレヤー)でリンゴの消毒。どんなに暑かろうと二日酔いだろうと、夏場の防除作業は、早朝5時開始。
所属している組合では、風の少ない早朝に一斉防除が原則ですからサボれません。
サクランボ、ラ・フランス、リンゴと、シーズンに各15回前後、合計45回程も防除します。
ですから夏場は3~4日に一度のペースで消毒作業をしていることになります。
そしてこの時期、草との戦いはまだ終わっていません。
9月16日、肩掛け刈払機で田んぼの畦の除草。8月にも除草したのに、一ヶ月でまた草ボーボー。
除草作業も、各園地をシーズンに4~5回周らなくてはなりません。
もちろん、消毒も草刈りも平日は出勤前にひと仕事。
そのあと会社での一日が、まー長い。
そのコンディションで気温30℃以上の日には、午後になれば気が遠くなってきます。
とてもスーツ着て仕事なんてやってられません。(これは会社の人間にはナイショです)
それから、ウチでは高品質の果物を作るために、来年の花芽を育てる基肥として、有機肥料の施肥を毎年この時期に行います。(施肥の種類やタイミング、量は農家ごとに違う)
9月18日、菜種粕、骨粉などの有機肥料を施肥。昨年は「肥料散布機」を使ってみましたが、機械のくせに効率が上がらなかった(むしろ効率悪かった)ため、今年は肥やしバケツを肩にかけて手撒きで施肥作業しました。(昨年の「肥料散布機」の話はこちら→第31話参照)
そして気づけば9月も終盤。今年も実りの秋が近づいてきました。
9月29日、田んぼが一面黄金の海。ヒエの異常発生で悩まされた(第49話参照)田んぼも、なんとか無事に黄金色に輝き出し、稲穂も首を垂れてきました。
「実るほど首を垂れる稲穂かな」状態。さあ、いよいよ稲刈りです!
が、自称「果樹農家」の我が家では、稲刈は大規模米農家で作るコンバイン組合に委託。作付面積と機械の経費を考えると、自分で機械を揃えて稲刈りするより効率的なのです。
10月2日、稲刈りが終わり、何か物寂しい田んぼ。さすがに大型コンバインで効率的に作業するため、稲刈作業の画像を撮る間もなく終了。なんとか今年も無事に稲刈りを完了しました。
稲刈りが終わると、田んぼも周囲の景色もすっかり秋の表情に。
さあ、ここからが収穫の秋。ラ・フランスとリンゴの収穫が待っています。
前話から言い訳を重ねていますが、現状ではブログの更新もおろそかになるくらい、会社も農業も両立しているとは言い難い兼業農家。
気合だけでは乗り越えられない壁を感じます。
気合の問題? 体力の問題?
ある人に「それはお前の覚悟の問題!」と指摘されましたが。。
繁忙期の8か月間は、朝4時半起床→7時まで朝仕事→会社へ出勤(休日は一日農作業)という日常が休みなく続きます。日の出から日没まで、あたりまえに働くのが農家の常。
後継者不足が取沙汰されますが、こういう仕事の仕方では誰もやりたがらないのは必然。どうやらこの辺に敗因がありそうですが。
まあ、結果うまくいくにせよダメになるにせよ、成り行きを最後まで書けたら本望です。
・・・誰か、読んでくれてるのでしょうか?
つづく