2013年 2月
一年で一番雪が多い季節です。
大雪が心配されましたが、今年は意外にそれほどの大雪にはならず、ちょっと降っても晴れれば消えて、最大積雪時でも約50cm、枝上では約20~30cmくらいでした。
(天童市の状況。その他の地域では昨年以上の大雪に見舞われた所もあるようですが。)
2月16日。この辺りが最高積雪。地面には約50cm、ひざ位まで。
枝の上にも約20~30cmくらい。昨年のこの時期は、記録的な大雪で、各地で雪による果樹の枝折れが多く、水戸農園でもサクランボやラ・フランスやリンゴに数本の枝折れ被害がありました。
今ごろは被害を最小限に止めようと、必死に枝の雪下ろししてたっけ。。
(昨年の大雪の様子→第19話参照)
雪がそれほど多くないとはいえ、やはり2月。降ったり止んだり寒かったりと、悪天候の真冬の厳しいコンディションの中、一番難しい(自分基準)リンゴの剪定に挑んでいました。
晴れれば気持ちいい青空。でも、冬の天候はすぐに急変し突然吹雪いてきたりします。
まだ踏まれてない真っ白な地面に木の影のアート。目を奪われる光景にも出会います。ウチのリンゴは大半が「ふじ」ですが、その中に別の品種「昂林」、「秋陽」、幻の「高徳」などが数本ずつあります。そして全体の3分の1(約10本)は、樹齢3年~10年生の、これから樹形を作らなきゃならない若木です。
樹齢20年以上の成木は、品質、収量など一番効率のよい形に父が樹形を既に作っているため、その樹形を維持していくための剪定であるのに対し、若木の場合はどの枝を残してどんな形に仕立てるかを考え、将来の樹形を造るための剪定なので重要であり難しいのです。
樹齢約10年生の「ふじ」の若木。リンゴの木の樹形はいろんな仕立て方がありますが、ウチでは将来「開心形」という形にもっていくように、収穫を得ながら徐々に形を整えています。なので、将来残るべき主枝(骨格となる大枝)は2~3本。
上記画像の若木の場合、現在の主な枝(主枝候補枝)は6本あるので、これから10年くらいかけて、枝を少しずつ減らしていき、最終的な樹形を造っていく必要があります。
将来の主枝となる枝(主枝候補枝)の伸び方を見極め、切る枝と残す枝を決めていくのですが、相手は植物なので思い通りにはいかず、プロにとっても難しい仕事なのです。
剪定中の「ふじ」の枝先。細かい枝先の処理がまた重要。また、ラ・フランスやサクランボは、ある程度樹勢を保って強い枝を作っていくのですが、リンゴは強すぎる枝にはいい果実ができず、適度に弱い成り枝を作らなければなりません。
(理論的には間違っているかもしれませんが、自分基準。)
適度に弱い成り枝っていうのは・・・これ以上、もはや言葉では表現できませんが、とにかくそういう枝を作って、いいリンゴを育てるには、枝の形状と量、日当たり、肥料、などなど、もろもろの条件が整わなければなりません。だから、剪定は重要で難しいのだ!
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これまでの、わずかな農業経験でなんとなく解ってきた知識や技術的なことを、少しでも伝えようと、専門的な内容を書いてみたばっかりに・・・。
書いているうちに自分で専門知識不足を痛感しました。
・・・すんませんでした。
晴れた日の夕暮れは、寒いけど気持ちいい!うまく理論的な説明もできない駆け出し農家ではありますが、
「これから将来どんな木に育てようか」とか、
「こういう風に切った枝にどんな果実が育つだろうか」とか、
「今年も美味しいリンゴが育ってくれればいいな」とか、
農業への愛着や夢が確実に膨らんでいる。
それが、たぶん、農業の醍醐味?(罠?)
・・・やばい・・・ハマってる?
でも、同時に、農業にハマればハマるほど、気持ちの中には
「これから将来どうなるんだろう」とか、
「知識も技術もないのに、ちゃんとやっていけるだろうか」とか、
「あきらかに無理のある二束のワラジを、いつまで続けられるだろう」とか、
農業への夢や希望とは真逆の不安も確実に膨らんでいる。
それが、たぶん、兼業農家の現実。
・・・「三歩進んで二歩さがる」か?
つづく