2013年 6月上旬
6月。ついに来ました。さくらんぼシーズン。
水戸農園が一年で一番忙しい季節です。
早朝。田んぼがキラキラ光ってます。そしてその奥にはサクランボのハウス。5月の田植え以降、すぐに収穫までの準備作業が始まります。
まずは摘果しながら葉っぱとり。
今年は春の天候不順による受粉不良が原因で(と思われる)、同じ地区内の近隣の畑では収量が例年の半分以下の不作だった農家も少なくないようでした。
ところが、どういう訳かウチのサクランボは昨年に続き豊作。
・・・というか逆に成り過ぎ?
園地の場所?それとも肥料?手入れがよかったのか?
なんでウチだけ豊作なのか、生産者でありながら、正直原因はわかりません。
とにかく、実が成らなければ商売になりませんから不作よりはいいとしても、実が多すぎると互いに養分を取り合うため、大玉で高品質のサクランボは作れません。
という訳で摘果です。多すぎる実を適正量に減らします。
摘果前。これじゃ着果量が多すぎ。
摘果後。これくらいが適正量。同時に着色を邪魔する下側の葉っぱも取ります。それから今年はウチだけじゃなく全体的に「双子果」が多い傾向らしく、これも摘果。
「双子果」。極端な枝はこんな風にほとんど「双子果」。これ全部摘果。「双子果」は両方揃って大きくなれば見た目は可愛いいんですが、なかなか揃いにくく、商品としては規格外になるため売り物にはなりません。
豊作とはいえ、この摘果と葉っぱとりの作業だけでもかなりの手間がかかります。
もちろん、不作だったら摘果はしなくていいんですが、収量が落ちれば収入も下がります。
・・・自然の恵なので天候の影響は仕方ないとしても、自然にちょうどいい位にならないもんかね?
そして摘果と葉っぱとりのあとは雨よけハウスのビニール張りです。
ビニールはハウスのサイズごとに裁断され畳んだ状態で納品されます。それを一旦すべて広げて中心から左右に開くように細長く畳み直し、1m位の間隔で結んでいきます。
ビニールを広げてたたみ直し。細長くたたんだビニールをハウスに引っ張り上げ、屋根の頂上(棟木)部分に結んで、ビニールを広げるまで固定しておきます。
ハウスの屋根の棟木にビニールを結んで固定。サクランボの雨よけハウスは一般的なビニールハウスと違って、収穫直前から収穫を終えるまでの一定期間だけビニールで屋根をかけます。
相手は植物ですから、あまり早くビニールをかけると雨があたらなくて水分が不足し、果実の成長にも影響します。でも逆に、ビニールをかけるのが遅くなると、成長した果実に雨があたり実割れして売り物にならなくなってしいます。
ビニールをかけるタイミングも重要。
そして収穫3週間前から土日を利用してビニールを広げました。
できればもう少し雨をあてたいところですが、なにせ兼業農家、ギリギリまでは待てず休日にやるしかありません。
一本ずつ片側からビニール広げ。地上約5mのパイプ(梁の部分)を伝って歩きながら、命綱なしの高所作業。けっこう怖い。っていうか、かなり怖い!
近所のサクランボ農家の方、特に高齢の方が、毎年誰かしら転落して怪我したという話もよく聞きます。
見下ろすとこんな感じ。・・・ヤバいよね。地元の農家もみんな高齢化していて、慣れてるとはいえ高齢者にはかなり危険な作業。
こういったことも、地域の農業を守るためには大きな問題のひとつです。
そして、毎度いろいろな事件が発生する水戸農園でも、ついにハウスから転落事故が!
・・・なんていえばネタにはなりますが、さすがに命にかかわる問題はシャレになりません。
気をつけて慎重に、今年もなんとか誰も怪我せずにビニールを張り終えました。
ビニール張り完了。ハウスの上からはなかなかの景色。
ハウスの上から見上げる青空も気持ちいい。ビニールを広げたら、ハウスの周囲に防鳥ネットを張り、ひとまず収穫前の準備は完了!
サクランボハウスの完成!そうこうしているうちに、ハウスの中ではサクランボの実が膨らみ色づいてきました。
6月10日、「紅さやか」最初は早生種の「紅さやか」。
6月11日、「佐藤錦」そして主力品種の「佐藤錦」も。
準備が終って、あとは収穫を待つのみです。まもなく、楽しい収穫作業。
・・・楽しい?
本音は、気が重い怒涛の収穫作業。
・・・体力もつのか?
とにかく、超ハードな日々が始まる訳です。
つづく